高齢者の摂食・嚥下機能
投稿日:2022年4月29日
カテゴリ:木村歯科訪問プロジェクト
埼玉県羽生市にあります、木村歯科医院の大竹です。
今日からゴールデンウィーク期間ですね!地元に帰省することがあれば、高齢の家族・親戚に会う機会もあるかと思います。そんな時、知っておきたい歯科の知識として今日は、高齢者における摂食・嚥下機能についてお話したいと思います。
摂食・嚥下とは、食物を認知し、口の中に取り込み、咽頭、食道を経て胃に至るまでの一連の流れの事です。摂食・嚥下機能は他の機能と同様に加齢変化を生じます。
【高齢者の口腔内や摂食・嚥下に関わる変化】
〇唾液分泌量の減少
唾液分泌量の低下は、加齢変化以外でも、脱水や糖尿病やシェーグレン症候群、薬剤の副作用が影響している場合がありますが、高齢者の約40%が口腔乾燥感を自覚していると言われています。
唾液は潤滑作用があり、口腔粘膜や舌の表面を覆うことでその動きをスムーズにし、咀嚼(嚙み砕く)機能を助ける働きがあるため、唾液分泌量の低下は円滑な摂食・嚥下を妨げます。
唾液には、刺激なく自然に分泌される安静時唾液と、食事などの刺激により分泌される刺激時唾液がありますが、加齢変化では安静時唾液量が低下します。一方、刺激時唾液量は高齢者においても変化を受けにくいとされています。
〇口腔周囲筋の変化
加齢変化により口腔周囲筋(口唇、頬、喉、舌)の筋力も低下します。筋力の低下により口唇閉鎖が上手くできず、食べ物や唾液が口唇からこぼれやすくなります。また、咽頭(喉)の閉鎖不全により誤嚥の危険があります。
舌の突出力の低下は、上下、左右、前方いずれにおいても認められます。舌の動きにより、咀嚼してバラバラになった食物を一塊にまとめ、飲み込みやすい形にします(食塊形成)。また、舌を口蓋に押し当てることで食塊は舌の後方(咽頭)に送り込まれます。舌の機能が低下すると、食塊をまとめ、咽頭に送り込む動きがスムーズにいかず、誤嚥のリスクが高まります。
加齢により噛む機能が低下すると、食べられる物が限られてしまい、低栄養や筋力・口腔機能の更なる低下、食事の楽しみの低下を招きます。また、飲み込む機能が低下すると誤嚥性肺炎を引き起こすリスクも高まります。高齢者の摂食・嚥下機能が低下した場合でも、様々な工夫や筋力の維持により「口から食べること」を維持することが大切です。
通院が難しくなってしまうと口腔内の管理も難しくなってしまいますが、訪問歯科診療では口腔機能を維持するためのケアやトレーニング、治療をご案内しています。通院ができずに困っている方、ぜひ当院の訪問歯科診療を活用してみてくださいね。
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