セラミックによる前歯の審美治療症例
投稿日:2023年6月27日
カテゴリ:審美治療症例
周囲の歯と調和がとれた前歯のセラミック治療症例
こちらの患者さまは、前歯の変色が気になるとのことで治療希望のため当院に来院されました。最初に当院のトリートメントコーディネーター(治療相談員)により、これまでの治療の経過、今回の治療で希望することや、気になることなどを詳しく伺い、当院の治療の流れについてご説明させて頂きました。
【▼初診時の口腔内】
上顎前歯2本の色が周りの色と違うため、きれいにしたいとのご希望があり、加えて前歯の並びや噛み合わせも気になるので治したいとのことでした。
上顎前歯2本は既に神経を抜く処置がされている状態でした。神経を抜いた歯は失活歯と呼ばれ、時間の経過とともに黒っぽく変色し、栄養が行き渡らなくなることで脆く欠けやすくなるといわれています。失活歯の生存期間は短くなる傾向がありますが、被せ物を適切に装着することにより、審美的に回復するだけでなく、歯を保護することにも繋がり、歯を長持ちさせることができます。
初診での検査や資料をもとに、患者さまの希望に沿った、納得のいく治療を行うため、「セカンドカウンセリング」の時間を設けました。その際に、被せ物や詰め物の治療方法を多くの選択肢の中から一緒に選んでもらうための被せ物のご説明も行いました。
前歯の被せ物の種類として、保険の白い被せ物(金属の上にプラスチックの材料を盛って製作する冠)と自費のセラミックを使用したより美しく性能の良い被せ物があることを伝えました。
保険の白い被せ物は表面がプラスチックの為、吸水性があり、経年変化で色が変わってくると周りの歯と調和しなくなります。また、傷がつきやすく強度に劣るため、摩耗が進むと裏の金属が見えてしまうことがあります。加えて、スポンジのような表面のためプラーク(細菌)が付きやすく、むし歯や歯周病のリスクが増加します。
一方、セラミックの材料は陶器の皿と同じため、吸水性がなく色が変化してくることもほとんどありません。前歯部に用いるジルコニアセラミックは光の透過性に優れ、透明感ある美しさがあり、変色せず永く白さを保つことができます。
また、きわめて強度が高く加工された特殊な材料であり、永年にわたって十分な耐久性があります。セラミックには表面に傷がつくにくい特性があり、プラークがつきにくいことでお掃除がしやすく、管理のしやすさに繋がり、結果的に長く健康を維持することが期待できます。加えて、保険の金属よりもぴったりと歯の面と合うため、被せ物の隙間から細菌が入り、二次カリエス(治療した箇所から新たにできるむし歯)が広がるリスクを抑えることができます。金属を使用しないので金属アレルギーの心配もありません。
デメリットとしては、セラミックは硬く摩耗しにくい材料ですが、衝撃には弱いため、噛み合わせの強い方には欠けてしまう可能性がゼロではありません。このように各種被せ物の特徴の違い、将来に対するリスクやデメリットも説明し、ジルコニアセラミックの被せ物を選択されました。
被せ物を作製、装着する際、歯肉の形態や炎症状態は被せ物の適合精度や審美性に大きな影響を及ぼします。被せ物の型取り前までに必要な歯周治療を行い、コンディションを整えておくことは大切です。
また、前歯部の被せ物をする際には、プロビジョナルと呼ばれる仮歯を作製します。プロビジョナルは歯肉の状態を整え、患者さまが理想とする形や口腔内に調和しているかどうかを共有するのに重要なものです。
木村歯科医院では、院内に技工所を併設し経験豊かな専門歯科技工士が、各種補綴物を一つ一つ丁寧に製作しております。多くの歯科医院は、外部の技工所に外注することが多いですが、院内で専門の歯科技工士が常駐しているため、製作する技工士と歯科医師が常にセッションすることで患者さまと納得がいくところまで、プロビジョナルをもとに審美性を追求することが可能です。
前歯部はより審美性を求められるため、歯周治療を行いつつ、プロビジョナルの修正を進めました。今回は失活歯の補綴であり、神経に影響なく歯を削ることができるため、ある程度の歯軸(歯の傾き)の修正は可能でした。歯の色調検査も行い、自然な色調、形態に仕上げ患者様にも納得いただきました。
よく見える前歯の色調や形態が審美的に整い、治療してよかったと大変満足いただきました。
治療前後の比較
【▼治療前】
【▼治療後】
年齢・性別 | 30代・女性 |
治療期間 | 2ヵ月(仮歯の期間と歯周治療を含む) |
治療回数 | 5回(仮歯の期間と歯周治療を含む) |
治療費用 | 前歯右1番左1番 ジルコニア冠2本 220,000円(税込) |
リスクなど | ・セラミック治療においては、過度な衝撃やかみ合わせによっては割れてしまうリスクがあります。 ・生活歯(神経が残っている歯)のケースでは、削る量によってはしみる症状や痛みが想定されるため、神経を取る処置が必要な場合があります。 ・歯の位置や角度を修正するのは限度があります。(許容量以上の修正は矯正治療が必要) |
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