神経が壊死した下の前歯をセラミックで修復した審美治療症例

投稿日:2023年11月8日

カテゴリ:審美治療症例

神経が壊死した下の前歯へ実施した審美治療症例

こちらの患者様は、以前から当院に通院いただいていた方です。

定期検診を行っていたところ、下顎両側中切歯(下の前歯)に違和感があるとのことでした。精査したところ、下顎両側中切歯の神経が失活(神経が壊死した状態)していることを確認し、神経の治療を行いました。

神経を抜いた歯は失活歯と呼ばれ、時間の経過とともに黒っぽく変色し、栄養が行き渡らなくなることで脆く欠けやすくなるといわれています。被せ物を適切に装着すると、色調や形態を審美的に回復するだけでなく、歯を保護することにも繋がるため、当院では神経の治療後は被せ物の治療を行います。

被せ物の治療方法を多くの選択肢の中から一緒に選んでもらうため、被せ物の種類の説明の時間を設けました。その際に、下顎両側中切歯2本の間に隙間があることが気になるのできれいにしたいとのご希望も確認しました。

【▼治療前の口腔内】

治療前の口腔内

前歯の被せ物の種類として、保険の白い被せ物(金属の上にプラスチックの材料を盛って製作する冠)と自費のセラミックを使用した、より美しく性能のよい被せ物があることを伝えました。

前歯の被せ物の種類

保険の白い被せ物は表面がプラスチックのため、吸水性があり、経年変化で色が変わってくると周りの歯と調和しなくなります。また、傷がつきやすく強度に劣るため、摩耗が進むと金属が見えてしまうことがあります。加えて、スポンジのような表面のためプラーク(細菌)が付きやすく、むし歯や歯周病のリスクが増加します。

一方、セラミックの材料は陶器の皿と同じため、吸水性がなく色が変化してくることもほとんどありません。前歯部に用いるジルコニアセラミックは光の透過性に優れ、透明感ある美しさがあり、変色せず永く白さを保つことができます。また、きわめて強度が高く加工された特殊な素材であり、永年にわたって十分な耐久性があります。セラミックには表面に傷がつきにくい特性があり、プラークがつきにくいことでお掃除がしやすく、管理のしやすさに繋がり、結果的に長く健康を維持することが期待できます。

加えて保険の金属よりもぴったりと歯の面と合うため、被せ物の隙間から細菌が入り、二次カリエス(治療した箇所から新たにできるむし歯)が広がるリスクを抑えることができます。金属を使用しないので金属アレルギーの心配もありません。

デメリットとしては、セラミックは硬く摩耗しにくい素材ですが、衝撃には弱いため、噛み合わせの強い方には欠けてしまう可能性がゼロではありません。各種被せ物の特徴の違い、将来に対するリスクやデメリットも説明し、ジルコニアセラミックの被せ物を選択されました。

仮歯

前歯の被せ物をする際には、プロビジョナルと呼ばれる仮歯を作製します。患者様が理想とする形や口腔内に調和しているかどうかを共有するために重要な処置となります。木村歯科医院では、院内に技工所を併設し経験豊かな専門歯科技工士が、各種補綴物を一つ一つ丁寧に作製しております。

多くの歯科医院は、外部の技工所に外注することが多いですが、院内で専門の技工士が常駐しているため、製作する技工士と歯科医師が常にセッションすることで患者様と納得がいくところまで、プロビジョナルをもとに審美性を追求することが可能です。

また、被せ物の型取りや装着をする際に、歯肉の形態や炎症状態は被せ物の適合精度や審美性に大きな影響を及ぼします。被せ物の型取り前までに必要な歯周治療を行い、歯肉の整えておくことでより精度のよい被せ物を作製することができます。

前歯部はより審美性を求められるため、歯肉のコンディションを整え、支台歯(被せ物の土台の歯)とプロビジョナルの修正を進めました。周囲の歯と調和するよう色調検査も行い、自然な色調、形態に仕上げ患者様にも納得いただきました。

【▼治療後の口腔内】

治療後の口腔内

患者様からは以前から気になっていた歯間部の隙間がなくなり、歯冠や歯肉形態も審美的に整い、治療してよかったと大変満足いただきました。

年齢・性別 60代・女性
治療期間 形成~装着まで1ヶ月程度
治療回数 4回
1. 形成、プロビジョナル(仮歯)作製 1回
2. プロビジョナル(仮歯)修正 1回 (プロビジョナルの期間:2週間)
3. 型取り (2週間で作製)
4. 装着
治療費用 型取り 3,300円(税込)
ジルコニア冠2本 220,000円(税込)※1本110,000円(税込)
リスクなど ・セラミック治療においては、過度な衝撃や噛み合わせによっては割れてしまうリスクがあります。
・歯の形態や角度を修正するのは限度があり、周囲と調和した形態にするためには矯正治療や欠損補綴が必要な場合があります。
・生活歯(神経が残っている歯)のケースでは、削る量によってはしみる症状や痛みが想定されるため、神経をとる処置が必要な場合があります。

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