前歯の被せ物をジルコニアセラミックに作り替えて美しくなった審美的治療

投稿日:2024年9月10日

カテゴリ:審美治療症例

前歯の被せ物をジルコニアセラミックに替えた症例

こちらの患者様は以前から通われている方です。定期的に歯周検査を受けておられました。

しかし、左上の2番目に痛みを訴えられ、検査の結果、根管治療(歯の根の治療)が必要と診断されました。また、前歯の右上1番目と左上1番目は歯肉が下がったことにより歯肉と被せ物の間に隙間が生じていいました。加齢や日々の歯磨き習慣によって歯肉が下がることがあります。その結果、汚れや細菌が溜まりやすくなり、むし歯のリスクが高まっていました。

【▼初診時の口腔内】

初診時の口腔内

患者様から右上1番目と左上1,2番目すべて綺麗にしたい(審美的治療)という希望があり、既に被せ物が入っていた右上1番目と左上1番目の被せ物も新たに作り直すことになりました。

そこで、被せ物の種類を選んでいただくために説明の時間を設けました。

硬質レジン前装冠

被せ物の種類の特徴として、保険の前歯の被せ物は前歯の表面は白いプラスチックで作られていて裏側は金属でできています。

白い部分はプラスチックのため、吸水性があり経年変化により色が変色しやすく、周りの歯との調和が損なわれる可能性があります。

また、傷がつきやすく強度が劣るため、摩耗が進むと裏側の金属が見えてしまうことがあります。加えて顕微鏡でよく見ると表面がザラザラしているため、プラーク(歯垢)が付きやすく、むし歯や歯周病の原因となることがあります。

セラミック

自費のセラミックの被せ物は陶器の皿と同じく吸水性がなく、変色してくることもほとんどありません。また、金属を使用しないので金属アレルギーの心配もありません。

特に前歯部に用いるジルコニアセラミックは光の透過性に優れ、透明感ある美しさがあり、変色せず永く白さを保つことができます。

また、特殊な素材で強度が高いため永年にわたって十分使用可能な耐久性がります。セラミックは表面に傷がつきにくい特性があり、プラークが付きにくく管理のしやすさに繋がり、結果として長期間にわたり維持することが期待できます。

これらの理由から、患者様は自費の「ジルコニアセラミック」を選ばれました。前歯部の被せ物をする際には「プロビジョナル」と呼ばれる仮歯を作製します。これは、患者様が理想とする形や口腔内に調和しているかどうかを共有するために重要な処置です。

技工所

木村歯科医院では院内に技工所を併設し、経験豊かな専門歯科技工士が各種補綴物を一つ一つ丁寧に製作しております。

多くの歯科医院は外部の技工所に依頼することが多いのですが、当院では院内に技工所を併設しているため、歯科医師と技工士が密に連携し、患者様一人ひとりに合った最適な仮歯を作成しています。

歯周病治療

また、被せ物の型取りや装着をする際に歯肉の形態や炎症状態は被せ物の適合精度や審美性に大きな影響を及ぼします。

なので、歯周治療を行い、歯肉の状態を整えることで、より精度の高い被せ物を製作することができます。

シェードガイド

前歯部はより審美性を求められるため歯肉のコンディションを整え、支台歯(被せ物の土台となる歯)と仮歯の調整を進めました。

周囲の歯と調和するよう色調検査も行い自然な色調、形態に仕上げ、患者様にもご納得いただきました。

【▼治療後の口腔内】

治療後の口腔内

患者様からは「一番見える前歯が綺麗になって嬉しい。」と大変満足いただきました。今後も定期検診で通っていただき、お口の状態の管理をさせていただきます。

【▼治療前後の比較】

治療前後の比較

年齢・性別 60代・女性
治療期間 3ヵ月
治療回数 8回(仮歯の期間と根管治療を含む)
治療費用 ジルコニア冠 3本 330,000円(税込)
根管治療(保険適応)
リスクなど ・過度な衝撃や咬み合わせによっては割れてしまうリスクがある。(咬む力が強い方だと尚更)
・歯の位置や角度を修正するのは限度がある。(許容量以上の修正は矯正治療が必要)
・セラミックは金属の被せ物などと異なり、ある程度の厚みを確保する必要がある。歯の形を整える際に神経の露出が避けられない場合がある為、事前に根の治療を行う場合がある。
・歯周病治療により、歯肉が後退して炎症を起こしたり、二次的なむし歯になる可能性がある。